Interview: Tony
Text: Tomoko Kunugi
Photo: Iichiro Hojo
Edit: Maru Arai
Translate: Atsuko Arahata
この、ひと目見て惹きつけられてしまう絵画は、2022年1月から千葉県立美術館で個展を控える、写実界のホープ山本大貴さんによるもの。作品のモデルを務めるコスプレイヤー/モデルの近衛りこさんと、山本大貴さんに、元吉本芸人で現在はアートを面白おかしく伝えるアートテラー・とに〜さんが、制作の裏側から普段聞けないプライベートまで迫ります。
アートテラーとに〜(以下とに〜): 二人はどうやって出会ったんですか?
近衛りこ(以下近衛): 造形作家の池内啓人さんのガジェットを私が装着して、制作した写真集がありまして、それを山本さんが見てくださったんです。
山本大貴(以下山本): 池内さんのTwitterでその作品を知った時、一瞬で釘付けになりました。直感的に「これはコンタクトを取らなければ!」って。
とに〜: 一瞬で「描きたい」っていう感情に?
山本: 「描きたい」というより「尊い」っていう感情、あれはもう一目惚れです。
近衛: だからでしょうか? 山本さんとの間には壁がありますよね。
とに〜: 今日も近衛さんと全然目を合わせない。
山本: 直視できないんです。最初の頃、近衛さんのことを「近衛さま」って呼んでいたぐらいですから。
近衛: まさか「さま」と呼ばれているとは(笑)。
とに〜: 崇めている感じですね。
山本: その表現は的を射ています。私の作品は度々「現代の美人画」と称されますが、近衛さんを描くことは自分にとって「美人画」という次元を超えて、イコン、まさに聖像なんです。今つい「近衛さん」って言っちゃった。
近衛: 山本さんなりのお気遣い、ありがとうございます。
山本: モデルさんは自分にとって崇高な存在です。手が届かないどころか、触れることすらできない存在。神に対する気持ちに近いですね。それってかつて画家たちがイコン画だとか宗教画を描いた動機と同じものなのだと思います。今はネット上にたくさんの「神」がいて、アイドルの存在というのは、ファンにとってはまさに「神」。もちろん、ファンのマインドはさまざまだと思いますが、僕の場合は昔の宗教画にあったような構造を再現していきたいんです。あくまでも僕自身の神を描きたい。もちろん、それが結果的にファン共通のイメージとして二次的に共感してもらえると嬉しいですけど。
とに〜: 布教したいわけではないのね。
山本: あくまでも私個人の「描き止めたい」という欲求。崇高な存在である神をこちら側の世界に召喚し、絵画という実体としてなんとか降りたってもらいたい……そういう気持ちです。ちょっと言い過ぎかもしれないですが、とにかく異世界の存在なんですよ。他のモデルさんの場合もそうなんですが、多分、近衛さんに対する捉え方はこのままずっとそのようなものである気がします。
近衛: だから継続して素晴らしい作品が描けるのでしょうね。
山本: でも、近衛さんのことはまだ全く描き足りていません。ネット上でいろんな写真家の方が近衛さんの写真をアップしていますが、いろんな目線で撮られていて、それぞれが断然魅力的だと感じてしまいます。特に、やすいきしょうさんが撮る近衛さんは、すごく良い部分を切り取っていて、「ここ、ここ!」っていうポイントが至るところに散見出来ますね。
とに〜: ズバリ山本さんが感じている近衛さんの魅力って何ですか?
山本: それが言葉にできるようなら、画家じゃなくて作家になってます。耳だとか顔だとか、パーツを取り上げて言い表せるほど簡単なものではないし。うーん、なんというのか、透明感……。
近衛: すっかり褒め殺されています(笑)。
山本: 近衛さんの活動方法や在り方が、いわゆる既存のアイドル像とは違いますよね。一言では言い表せないというか。
近衛: 私自身もよくわからないんです(笑)。文章で肩書きを提出しなきゃいけない時は、「モデル、コスプレイヤー」って書いてます。でも本当はモデルでもコスプレイヤーでもない気がして。なので、募集中です! 第三者の方が決めてくれる方がありがたいです。
とに〜: どういう経緯で今のような活動を?
近衛: そもそも私はすごくオタクでして、アニメや漫画やゲームが大好きで。それで中3の時アニメのコスプレをして、あるイベントに遊びに行ったんです。そしたら気付いた時には大勢の大人達に囲まれていて……(笑)。その時のご縁で撮影会など、いわゆるモデルっぽい活動をするようになりました。
とに〜: 山本さんと会う前に、画家のモデルになったことはあるんですか?
近衛: いえ、初めてです。山本さん以外、いません。
とに〜: オファーが来た時、どう思われました?
近衛: 嬉しかったです。ちょうど私がオファーをもらう少し前に、Twitterで山本さんの絵がすごくバズっていたんです。だから、オファーをもらった時、「あ、この絵見たことある!」って。
山本: 良かった……。今の時代に画家ってイメージとしてなんとなく得体のしれない、胡散臭い職業じゃないですか?
近衛: 確かに普通に暮らしていたら、なかなか出会わない存在です。でも山本さんは胡散臭くないですよ。
山本: バズったことが一つの説得力にはなりましたよね。
近衛: いえ、それは作品を拝見したらわかることなので。素人目で見ても山本さんの絵が素晴らしいってことはわかります。だからもし山本さんのことを知らなくても、オファーは受けたと思いますよ。
山本: ありがとうございます。SNSの時代の恩恵ですね。近衛さんと知り合えたのもTwitterだし、相互にやりとりも出来る。既存のアイドルだったら、ファンは一方的に享受するのみでした。でも、今は、双方向的にコラボレーションが可能になる時代なんです。2010年代仕様のものづくりの在り方ではないでしょうか。
とに〜: 写真に撮られるのと絵に描かれるのとでは、どんな違いがありますか?
近衛: ハッキリとはわかりませんが、山本さんの絵って、現実と絵の間に何かが一枚在るような気がします。山本さんのスタイルは写実で、写真から絵に起こしていくというものですけど。
とに〜: モデルになった時、画家の目というのを感じました?
近衛: はい、すごく感じました。これまで4、5回撮影してくださっていますが、山本さんは画家さんなのに撮影への向上心がすごく強くて(笑)。前回ライティングのソフトを使ったり。
山本: ライティングシミュレーションソフトですね。画家にとってもかなり使えるんです。パソコン上のアプリケーションソフトで、「ここに置くと、こういう風に陰影がつく」みたいなことが直感的に出来るんです。こういったソフトがもっと作られてほしい(笑)。
近衛: 山本さんの撮った写真をその場で見せてもらうと、その時点でもう山本さんの絵になっているんです。
とに〜: 「じゃあ写真でいいじゃん」ってことにはならないの?
近衛: そうじゃないんです。そこに一枚山本さんの世界が挟まることで、写真じゃなくてやっぱり絵の世界になるんです。
山本: 最近、8割は写真家の仕事なのかもしれないと思っていて。ただ残りの2割は間違いなく画家の仕事として重要な意義を持つんです。そこは絶対大事なところ。
とに〜: 5:5じゃなくて、8:2なわけね。
近衛: 結構多いですよ、8は!(笑)
山本: 仕事量としては8割撮影や編集。でも後の2割がめっちゃ濃い。そこにはやっぱり画家としての矜持みたいなものがありまして。「絶対に絵じゃないとダメだ」というエッセンスが、その2割に込められているんです。
近衛: それは確かに感じます。
山本: 油絵の醍醐味として、まずは物質性があります。写真はどれだけ素晴らしいものでも、出力されたものは均一の質感で、カメラやプリンターの性能で画質が決まります。もちろん重要なのは内容であって、ポイントがそこではないにせよ、です。絵画においては、画家自身が世界で唯一のプリンターになるわけです。しかも既製のインクではなくて、無限の色数の中から自ら調合したオイルと絵具で自分だけの色を導き出す。それに油絵には特有の物質感があります。コッテリとしたその物質感自体が、自分にとってはとても美しく感じられるのです。物質感というのはアナログ絵画の欠かせない魅力の一つですね。人生をかけて磨いてきた印刷能力を用いて、時間をかけて出力していく。そこから生み出されたイメージは、写真では表現できない物質としての魅力を提示できるんじゃないか。そういう可能性を追求するために、僕はやはり絵画という表現に拘っていきたい。
近衛: 言語化が難しいんですけど、画家としての2割という部分に、山本さんならではのテイストやスキル、感情などが乗っているんだと思います。そこが写真とは違う、山本さんの作品の魅力だと感じます。私が撮ってもらっている写真にもいろんな種類がありまして、撮影によって全然違う心持ちで挑んでいるんです。カメラマンとモデルは、心身ともにわりと近い距離感にいると思うので、山本さんの少し距離をとったスタンスというのは、写真とはまた違った魅力を引き出しているような気がします。
とに〜: 山本さんのモデルをする時、近衛さんは演じているんですか?
近衛: そうですね。あまり演じているつもりはないですけど。山本さんの撮影はあんまり撮影だと思ってなくて(笑)。さっきの宗教画の話じゃないですけど、多分、撮影の時点で山本さんの中でイメージがすでに出来上がっていて、そのイメージを撮影中に伝えてくれるんです。だから私は、ただそれをやるだけ、みたいな。撮影の時点で山本さんは、すでに絵を描いてるというか……。
とに〜: 近衛さんを描いていて、一番難しいパーツってどこですか?
山本: モデルさんによって、確かに難易度の違いってあるんですが、近衛さんは、実はいつも苦心して描いてます(笑)。いまだに特徴を見切れていなくて、その描きづらさが結果的に僕のデッサン力を鍛えてくれているんです。
近衛: 苦しまずに描ける方もいますか?
山本: 「あれ、描けちゃった!」っていう方もいます。パーツが特徴的で掴みやすいということかもしれませんね。
近衛: 他のモデルさんの作品は視線が正面や、こちら側を見ていないことが多いと思うんですけど、私の場合は結構見ている作品が多いですよね。それはなぜですか?
山本: 目線というのは、描く上で重要で、自分とモデルさんとの距離感を露骨に表現するものです。目線ってすごく攻撃力があるんですよ。基本的に自分は人の目線に耐えられないのですが、近衛さんの目線は不思議と痛くない。さすがに実際に直視はできないんだけども、写真で撮る時に、カメラ目線をサッと送ってくれても、あんまり攻撃的じゃないというか。それは、近衛さんのプロ意識の表れなのかもしれないけれど。大きな器量を持って目線を送ってくれてるので、耐えられるんです。近衛さんのコミュ力って、本当にすごいんですよ。
近衛: 耐え忍んで描いてくれたんですね。ありがとうございます(笑)!
とに〜: 攻撃的な人もいるの?
山本: 攻撃的というより、強すぎるというのかな。なんらかのパワーを持ってグサッと来るので、「アッ!」ってなっちゃう(笑)。目ってものすごく強いモチーフなので、そのまま描くと絵の中で浮いてしまう。ちょっと弱めに描くぐらいがちょうどいい。目というパーツを私たちは日常的に実によく見ているんです。だから、ちょっとしたズレだとか、微妙なデッサンの狂いとかにすぐ気づいてしまう。コツとしては、気持ち弱く描く。あんまり目を描きすぎないようにはしていますね。
近衛: 私を描く時、他にどんな点で苦労しますか?
山本: 近衛さんの存在感は一筋縄じゃ行きません。さっき僕が「言葉に表せない」と言った近衛さんの魅力が、多分そこにあるんですよ。一様に描き表せない造形美を持っていると思う。
近衛: 私、顔が左右非対称なんです。だから、角度によって全然顔が違って見えるみたい。カメラマンにもよく言われます。「全然上手く撮れない」とか「めちゃくちゃ撮るの難しい」って。あと、鼻が高いから顔に影が出来ちゃったりします。
山本: あんまりパーツで語りたくないんだけど、描くときに苦心するのは、目のバランスかもしれないですね。
とに〜: でも絵なわけだから、そのへん勝手にバランスを調整しちゃったりすればいいのに。
山本: 確かに。ただ、自分は全てを絵の中に再現したいタイプなんです。なんとかして、こっち側に神を降り立たせたい。そのために過不足なく描きたいという気持ちが常にあります。
とに〜: なるほど。
近衛: 神の話は別として(笑)、山本さんのそういう姿勢は結構感じています。出来上がってから見せていただくんですけど、左右の目の大きさが違うとか、目尻が上がってるとか、眉毛がこうなってるとか、ちゃんとそのまま描かれているんです。人間の黄金比として美しい、理想的な顔つきってあると思うんですが、そういうことでなく私の顔をそのまま描いてくださるのは、すごく嬉しかったです。変えられちゃうと「ああ、ダメだったか」ってなりますから(笑)。女性の中には、盛ってもらったら嬉しいという気持ちになる人もいるかもしれないけど、私はそのまま描いてもらえたのが嬉しかった。
山本: 今の時代って、いわゆる「かわいい」という概念がインフレ化している気がします。「盛る」という文化が一般化しているせいで、見えたままのものにリアリティを感じずに、「らしくない」と思ってしまったり。人工調味料マシマシのジャンクなものに慣れすぎているというか。いわゆる自然食的な素の状態が出てきた時に、「味薄い」とか、逆の違和感を持ってしまうんじゃないかと危惧を感じています。自分はどちらかというと自然派なので、全てをありのままに、過不足なく、盛らずに描きたい。果たしてネットの住民たちがそれをどうジャッジするのか、常に不安感はありますが。
近衛: 私の長いファンの方で、山本さんの作品を購入したくて抽選を申し込んだ人もいますよ。
山本: 逆に自分の昔からのファンが近衛さんに興味を持って、近衛さんをフォローしたりとか。そういうのは相互にありますね。
近衛: 嬉しいですね。面白いのは、そうやって来てくださった方が、やっぱり山本さん節なんですよ(笑)。
とに〜: どんな風に?
近衛: 私に対する感情の持ち方が山本さんと似てる。メールで送ってくれる感想とかが、すごく長いとか(笑)。いつも読んでほっこりしています。あと、お祈りとかしてくれるタイプの方も多いです。
山本: 「迷惑だろうなぁ」ってわかっていても、そうなっちゃうんですよ。
近衛: 中には宗教学者の先生がいらして、やっぱり「りこさま」って(笑)。「仕事がうまくいっているのも、りこさまのおかげです」って、お祈りを捧げてくださいます。
山本: 近衛さんのような次世代型のアイドルって、これからの時代の方向性を予見する方々だと思うんですよ。
とに〜: 昔、浮世絵で描かれていた町娘って、そうやって描かれることでさらに人気が出たっていうけど、それにちょっと近い気がするね。今は画像を介してということだけど。そのスタイルの令和版なのかな。
山本: そうだと思います。令和ロマンですよね。かつて大正時代に高畠華宵や竹久夢二といった画家がいわゆる「モダンガール」をモデルとした美人画を描き、大衆に愛されて一世を風靡しました。大正ロマンです。「美人画」という言葉はあまり使いたくないんだけど、それでも大正ロマンから続く美人画の文脈に、僕の絵画も成り立っているのかもしれません。
とに〜: 露骨な質問だけど、山本さんはモデルにしたい人と恋人にしたい人とでは、タイプは違うの?
山本: 共通するところはあるかもしれないけど、決定的に違うところがあります。単純に人としての好意だけで描こうとしても、自分にとってそれは不可能なんです。全く別の、作家としての目線がそこには存在しているので。あくまでも作り手の快楽的なテリトリーにフィットするかどうか。そういう謎ルールというか、感覚的なところがあるんです。
とに〜: ピカソとは違いますね。
山本: 真逆です!ピカソが20世紀の代表的な画家として君臨しているばかりに、私みたいな画家はなんだか肩身が狭くなっちゃうんですよ。
とに〜: ピカソのせいで迷惑していると(笑)。
山本: です。それはもう是非言いたい。自分みたいなタイプの画家もちゃんと21世紀に存在できるということを証明していきたいです。画家はピカソだけじゃない!! っていう。
とに〜: 最後に、近衛さんにとって神という存在は何ですか?
山本: いらっしゃるんですか、そんな存在が…?
近衛: マインドは山本さんと似ていると思います。私の神はモーニング娘。OGの道重さゆみさんなのですが、奇跡が起きてプライベートで会える機会があったとしても、マジで会ったりしたくないです。先祖とかいるってことじゃないですか、道重さんにも。彼女を構成しているDNAの羅列があるっていうこと自体「すごい!」って思っちゃう。
山本: さらに上があるんですね……。地獄が何層もあるように、上には上が何層にも存在している。
近衛: 道重さんのことが好き過ぎて、私は歌って踊るアイドル活動はしませんでした。アイドルは道重さゆみさんという完成形が既にあるので、私は絶対に出来ないんです。
山本: 尊いです!その判断は。
近衛: だからマインドは一緒なんです、山本さんと。
とに〜: お笑いが好き過ぎてその世界に行った自分は、なんて尊くないんだと恥ずかしくなりました。
近衛: でもそういう人って魅力的ですよ。思考し過ぎるのは悪い癖とも言えるし。やりたいことにスッといければ、一番素敵ですよ。そういう人間が多くあるべきです。
とに〜: 神の教えを、ここに聞きました(笑)。
山本: 近衛さんのその考えもわかる!
とに〜: どっちだよ!(笑)
山本: 信者なんて、そんなもんです。
近衛: 全肯定してくれるんですよね(笑)。
とに〜: 今日の話は、画家とモデルの対談としてすごく貴重な話だと思います。神と信者、こういう関係性があるというのはとても興味深かったですね。
来年1月から千葉県立美術館で山本さんの個展が開催されますが、近衛さんも行かれますか?
近衛: はい、是非。
とに〜: 近衛さんをモデルにした作品は何点出品するんですか?
山本: 4点ですね。本展のメインビジュアルにもなっています。
とに〜: その中で是非見て欲しいという作品を、 せっかくなので神に選んでもらいましょう。
近衛: ポスターになっている絵(《Standing Figure (feat,IKEUCHI Hiroto)》)。あの作品、すごく好きです。山本さんがおっしゃったように、油絵の質感は実物を見ないと感じられないので、皆さんに是非見ていただきたいと思います。
山本: 今日はどうもありがとうございました。近衛さんにこれだけのお時間を頂くってすごいことなんですよ!作家冥利に尽きます。
とに〜: 山本さん、結局最後まで近衛さまと目を合わさなかったね(笑)。
【Profile】
山本大貴(Hiroki Yamamoto)
写実画家。1982年千葉県生まれ。2007年武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業(卒業制作優秀賞受賞)。第83回白日会展初出品、白日賞受賞(10年富田賞受賞)。2009年同大大学院造形研究科美術専攻油絵コース修了。2011年第46回昭和会展優秀賞受賞。現在白日会会員。
Twitter:https://twitter.com/SILVE05
Instagram:https://www.instagram.com/hirikoyamamoto/
近衛りこ(Riko Konoe)
モデル、コスプレイヤー。新潟県生まれ。
趣味はAV鑑賞とテクノミュージックを聴くことで、特技は歯磨きです。
Twitter:https://twitter.com/ko_no_e
Instagram:https://www.instagram.com/ko_no_e
アートテラー・とに〜(Tony)
1983年生まれ。千葉大学法経学部法学科卒。元吉本興業のお笑い芸人。
芸人活動の傍ら趣味で書き続けていたアートブログが人気となり、独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」に転向。
現在は、美術館での講演やアートツアーの企画運営をはじめ、雑誌連載、ラジオやテレビへの出演など幅広く活動している。
Podcast「そろそろ美術の話をしよう …」:https://sorosoro-art.vercel.app/
blog : https://ameblo.jp/artony/
【協力】
東洋文庫ミュージアム内 オリエント・カフェ
produced by 小岩井農場
東京都文京区本駒込2丁目28番21号
公益財団法人東洋文庫内
TEL 03-3942-0400
http://www.toyo-bunko.or.jp/museum/orientcafe
This mesmerizing picture is portrayed by Hiroki Yamamoto, a well known painter in the realism art world, who had a solo exhibition in January 2021 at The Chiba Prefectural Museum of Art. Today, Tony, an art teller, who is a former comedian of Yoshimoto and now focusing on art narrative with comical story telling, will dig deep through the conversations about behind the scenes of the production to the rather private matter which is quite rare to hear about with Riko Konoe, a cosplayer and model, who is the model of this picture, and Hiroki Yamamoto.
Tony: How did you two meet?
Konoe: I modeled for this photo book with
a gadget made by an artist Keito Ikeuchi, who is a figurative artist. and fortunately he saw it.
Yamamoto: When I saw it on Mr. Ikeuchi’s Twitter, I was instantly glued to it and thought “I have to get in touch with this person!”.
Tony: You felt the urge to draw in that second?
Yamamoto: It’s a feeling of “nobleness” rather than “I want to draw”. That is love at first sight.
Konoe: Is that why? I feel like there is a wall between you and me.
Tony: You don’t make eye contact with her at all today.
Yamamoto: I can’t look directly at her. At the beginning, I used to call her “Konoe-sama”.
Konoe: No way you are calling me “sama”….LOL
Tony: It feels like you are worshiping her.
Yamamoto: That is right. My work is often called “modern bijin-ga”, and drawing Konoe-san is equal to drawing an “icon”, a sacred image beyond the dimension of “bijin-ga” for me. I just said “Konoe-san”.
Konoe: Thank you…LOL
Yamamoto: The model is a noble person for me. The existence that I cannot reach and touch. It’s like a feeling for God. I think that it is the same motivation for painters to have drawn icon paintings and religious paintings once. Now there are many “gods” on the web, and the existence of idols is exactly “god” for fans. Of course, I think that the minds of fans vary, but in my case, I want to reproduce the structure that was in old religious paintings. I just want to draw my own god. Of course, it would be great if you could sympathize with my works as a common image for all the fans.
Tony: So you don’t want to propagate them.
Yamamoto: It is a desire to draw privately. I want a god who is a noble being to summon to this side and somehow become an entity of painting. It may be a little overstated, but anyway, they are residents of another world. Other models too, but I think the way that I see her will never change.
Konoe: That’s why you can continue to draw wonderful works.
Yamamoto: But I actually haven’t drawn her enough yet. Various photographers have uploaded her pictures on the web, and they are taken from various perspectives and each one is very attractive. In particular, her portraits taken by Kishou Yasui, capture so well, and you can see the greatness everywhere.
Tony: What do you think is her charm?
Yamamoto: If I can put that into words, I wouldn’t be a painter but a writer. It’s not easy enough to pick up parts such as ears and faces and express them. Well, I guess it’s her transparency…
Konoe: I’m completely praised.LOL
Yamamoto: Her activity and way of being are different from the so-called existing idol image. I cannot express it in one word.
Konoe: I can’t label myself either.LOL When I have to submit a title in a sentence, I introduce myself as “model and cosplayer”. I think that I’m not really a model or a cosplayer though, so I am still looking for my title! It would be great that a third party decides.
Tony: How did you start this activity?Konoe: I’m an otaku first of all. I love anime, manga, and games. When I was in 3rd grade at junior highschool, I cosplayed as an anime character and went to an event. Then when I noticed, I was surrounded by a lot of people…LOL That’s when I started doing so-called model activities such as photo sessions.
Tony: Have you ever become a model for a painter before you met him?
Konoe: No, this is my first time.
Tony: How did you feel when the offer came?
Konoe: I was happy. Just before the offer, his work was already buzzing on Twitter. When I got the offer, I was like, “Oh, I’ve seen this picture!”.
Yamamoto: That’s especially good to hear… The profession “painter” is a bit unfamiliar to people and sounds a bit shady in this era.
Konoe: Certainly, if I live normally, I wouldn’t meet a painter that often. However, Mr. Yamamoto is very nice.
Yamamoto: I guess my tweet helped me.
Konoe: No, I thought you were nice when I saw your works. Even if we are an amateur, we can see that your paintings are wonderful. Even if I don’t know you, I think I would get the offer.
Yamamoto: Thank you. That’s the benefit of SNS. I got to know you on Twitter, and interacted with each other. If it was a normal idol, fans would only enjoy it one way, but now is the time interactive collaboration is possible. Isn’t this the way of creating for the millenials?
Tony: What is the difference between being photographed and being drawn in the picture for you?
Konoe: I don’t know clearly, but I think that there is something between the reality and the picture in his works. His style is realism and he draws from photographs to pictures.
Tony: When you became a model, what did you feel in his eyes as a painter?
Konoe: Yes, I really felt the presence of his eyes. Though I have been his model four or five times so far, his ambition for shooting the picture is so strong despite being a painter.LOL He used lighting software last time.
Yamamoto: It’s lighting simulation software. It’s also quite usable for painters. It is an application software on the computer and you can intuitively do something like “If you put it here, the shadow will be like this”. I want more software like this!
Konoe: When I saw the picture on the spot, it was as if his work of art was there already.
Tony: Doesn’t it mean that “it’s enough”?
Konoe: That’s not true. With his layer, it becomes the world of painting, not photography.
Yamamoto: Recently, I think that 80% of my work may be the work as a photographer. However, the remaining 20% definitely has important meanings as a painter’s job. That is absolutely important.
Tony: It’s 8:2, not 5:5.
Konoe: That’s quite a lot!LOL
Yamamoto: 80% of my work is shooting and editing, but the latter 20% is really dense. After all, there is pride as a painter. 20% of it has the essence that “it must be a picture”.
Konoe: I certainly feel that.
Yamamoto: The best part of oil painting is its materiality. No matter how great the photos are, the output will have homogeneous textures, and the performance of your camera or printer will determine the image quality. Of course, what matters is the content, even the point isn’t there.
In painting, the painter himself will be the only printer in the world. What’s more, he derives his own colors by not using ready-made inks, but oils and paints that he has prepared from a numerous number of colors. Besides, oil paintings have a unique material. The material itself is very beautiful for me. It is one of the indispensable charms in an analog painting.
Using “the printing ability” that I have refined over my life, I create output over time. I think that the image created from that may be able to show the charm as a substance that cannot be expressed in photographs. In order to pursue such a possibility, I would like to stick to the expression of painting.
Konoe: It’s difficult to put it in words, but I think that 20% of his work as a painter has taste, skills, and emotions that are unique to him. I feel that is the charm of his work, which is different from the photographs.
There are various types of photos that I have been taken and I challenge as a model with a completely different mindset. I think that usually a cameraman and a model are close to each other both physically and mentally, so I feel that his stance of taking a little distance brings out a different charm from photography.
Tony: When you are his model, do you play a certain role?
Konoe: Well… I try not to be something else.. Actually I don’t consider his shooting as a normal shooting. LOL It’s kind of like the story of religious paintings we just talked about before, but maybe the image was already created by him at the time of shooting and he conveys that image during shooting. Therefore, I just do whatever he asks me to do. I feel like he has already drawn a picture right at the shooting…
Tony: What is the most difficult part of drawing her?
Yamamoto: It’s true that the difficulty level differs depending on the models, but she always has me struggle to draw.LOL I have not been able to see all her features yet, and that difficulty has resulted in training my drawing skills.
Konoe: Is there anyone who can draw without suffering?
Yamamoto: There are some people who are like “Oh, I’m done!!” It may be that the parts are characteristic and easy to grasp.
Konoe: I think that most of the other models aren’t looking at the front or this side in works, but in my case, I’m pretty much looking ahead. Why is that?
Yamamoto: The line of sight is important in drawing and it clearly expresses the distance between you and the model. The line of sight is very aggressive. Basically, I can’t stand people’s eyes, but your eyes don’t hurt somehow. I cannot actually look directly at you, but when I take a picture, your eyes are not very aggressive somehow even if you give me a look at the camera. It may be because of your professionalism. She has a great deal of skill,so I can deal with it. Hercommunicative competence is really amazing.
Konoe: You endured and drew it. Thank you!
Tony: Are there some people who have aggressive eyes?
Yamamoto: I think they are too strong rather than aggressive. they come with some power, so I end up like “Ah!” .lol They are a very strong motif, so if you draw them as they are, they will stand out in the picture. It is just the right amount to draw it a little weakly. We often look at the parts of the eyes on a daily basis. Therefore, I immediately notice a slight deviation or a subtle drawing error. The trick is to draw weakly. I try not to draw many eyes too carefully.
Konoe: What other points do you struggle with when drawing me?
Yamamoto: Your presence is not straightforward. Perhaps It is the charm of you that I said before “I can’t express it in words”. I think you have an aesthetic that cannot be depicted.
Konoe: I have an asymmetrical face. Therefore, it seems that my face looks completely different depending on the angle. Photographers often said that “I can’t shoot well at all” or “It’s really difficult to shoot”. Evenmore, because my nose is high, shadows may appear on my face.
Yamamoto: I don’t want to talk too much about the face parts, but what I struggle with when drawing may be the balance of your eyes.
Tony: But it’s a picture after all, so why aren’t you willing to adjust the balance on your own?
Yamamoto: Certainly. However, I am the type of person who wants to reproduce everything in my picture. Somehow I want to get God down to this side. For that reason, I always have the desire to draw neither too much nor too little .
Tony: I see.
Konoe: Apart from the story of God, I feel such an attitude from him. He shows me after it is completed, but the size of the left and right eyes are different, the corner of my eyes are raised, and the eyebrows are like this, They are drawn as they are. It is thought that there is a beautiful and ideal face as a human golden ratio, but I was very happy to draw my face as it is instead of that. If you have changed them, I may have felt like, “Oh, it wasn’t enough?”. Some women may feel happy if their faces are retouched, but I was happy that he drew them as they were.
Yamamoto: I feel that the concept of so-called “kawaii” is inflating in this era. Because the culture of “making your face prettier” is becoming more common, you don’t feel the reality of what you see, and think it’s not like you. It looks like you are becoming too accustomed to the junk of artificial seasoning more and more. I’m afraid that when the so-called natural food comes out, people may have a “light taste” or the opposite sense of incongruity. I’m rather natural, so I want to draw everything as it is, without excess or deficiency. I’m always worried about how the internet residents will judge it.
Konoe: Some of my long-time fans have applied for a lottery because they wanted to purchase your work.
Yamamoto: On the contrary, my old fans were interested in her and followed her. It is mutual for us.
Konoe: I’m happy. What’s interesting is that the person who knew me through him is the same as Yamamoto-san way.lol
Tony: How so?
Konoe: The way they express their feelings for me is similar to him. They would send comments about the art and usually the emails are very long.lol I feel very relaxed when reading them. They would pray for me too.
Yamamoto: Even if we knew that it would be too much for you, we would still do it.
Konoe: There was a professor of religious studies and he called me “Riko-sama”.LOL He prays, “Thanks to Riko-sama for the success of my work”. LOL
Yamamoto: I think that next-generation idols like you are people who foresee the direction of the future.
Tony: It is said that in the old days, the town girl who was drawn in Ukiyo-e became even more popular by being drawn in that way, and I feel that it is a little closer to that. Now it is through images. Maybe it’s a Reiwa version of that style.
Yamamoto: I think so. It’s “ Reiwa romanticism”, isn’t it? In the Taisho era, painters such as Kashō Takabatake and Yumeji Takehisa drew beautiful women’s paintings modeled on so-called “modern girls” and were loved by the people and prevailed in the world. It is Taisho romanticism. I don’t want to use the word “bijin-ga”, but my paintings may still be in the context of bijin-ga that continues from Taisho romanticism.
Tony: It’s a blatant question, but do you have any difference in the type of person between those you want as models and those you want to have romance with?
Yamamoto: There may be something in common, but there are decisive differences. Even if I try to draw simply by my favor as their person, it is impossible for me. Because there is a completely different perspective as an artist there. Whether it fits in the pleasure territory of the creator. It’s a mystery for me too.
Tony: So different from Picasso.
Yamamoto: The exact opposite! Just because Picasso represents a painter of the 20th century, painters like me feel a bit uncomfortable.
Tony: You are annoyed of Picasso.LOL
Yamamoto: That’s right. I really want to say that. I want to prove that painters like me can exist in the 21st century. The painter is not only Picasso.
Tony: Finally, what is God for you, Konoe-san?
Yamamoto: Is there such an existence in her…?
Konoe: I think that my mind is similar to yours. My god is Sayumi Michishige, an alumna of Morning Musume(Japanese pop musician), and even if a miracle happens and I have the opportunity to meet her in private, I really don’t want to meet. It means that she has an ancestor. The fact that there is a list of DNA that makes her is so unbelievable!
Yamamoto: There is no limit to excellence… Just as there are layers of hell, there are layers above.
Konoe: I like Michishige too much, that’s why I don’t do idol activities like singing and dancing. I can never do that because the idol already has a completed form called Sayumi Michishige.
Yamamoto: What a noble judgment!
Konoe: That’s why I feel like we have similar minds.
Tony: I feel embarrassed that I did comedy because I like comedy too much.
Konoe: I think that kind of person is attractive too though. Thinking too much is a bad habit. It is best if you can do what you want to do. There should be more of those people.
Tony: I heard God’s teachings here.LOL
Yamamoto: I understand her idea!
Tony: Which one!LOL
Yamamoto: That’s what believers are.
Konoe: You totally affirm it.LOL
Tony: Today’s story was very valuable as a dialogue between a painter and a model. It was very interesting that there was such a relationship between God and believers.
Mr. Yamamoto’s solo exhibition will be held at the Chiba Prefectural Museum of Art from January next year. Will you be there?
Konoe: Yes, absolutely.
Tony: How many works will be exhibited with her as a model?
Yamamoto: There will be four paintings. It is also the main visual of this exhibition.
Tony: Let’s ask God to choose the work that you definitely want people to see.
Konoe: The picture on the poster (《Standing Figure (feat, IKEUCHI Hiroto)》). I really like that work. As he said, the texture of oil paintings cannot be felt without seeing the real thing, so I would like everyone to see it.
Yamamoto: Thank you very much for today. It’s amazing to have this much time with her! These are some of the best things of my life as a creator.
Tony: You didn’t make eye contact with her until the end.LOL
【Profile】
Hiroki Yamamoto
Realist painter. Born in Chiba prefecture in 1982. In 2007 Graduated from Musashino Art University, Faculty of Art and Design, Department of Oil Painting (Received Graduation Production Excellence Award). He exhibited for the first time at the 83rd Hakujitsu Kai Exhibition and won the Hakujitsu Award (in 2010 Tomita Award). Completed the oil painting course at the Department of Fine Arts, Graduate School of Art and Design, Doshisha University in 2009. In 2011 he won the 46th Showa Kai Exhibition Excellence Award. Currently a member of Hakujitsukai.
Twitter:https://twitter.com/SILVE05
Instagram:https://www.instagram.com/hirikoyamamoto/
Riko Konoe
Model, cosplayer. Born in Niigata prefecture.
Her hobbies are watching AV and listening to techno music, and her specialty is brushing her teeth.
Twitter:https://twitter.com/ko_no_e
Instagram:https://www.instagram.com/ko_no_e
Art Teller, Tony
Born in 1983. He graduated from the Faculty of Law and Economics, Chiba University. He is a former Yoshimoto Kogyo comedian.
Aside from his entertaining activities, the art blog that he continued to write as a hobby became popular, and he turned to an “art teller” that introduces the world of art in an easy-to-understand and fun way from his unique perspective.
Currently, he is active in a wide range of activities such as lectures at museums, planning and management of art tours, serialization in magazines, and appearances on radio and television.
Podcast「SoroSoro bijutsu no hanashi wo shiyou …」: https://sorosoro-art.vercel.app/
Blog : https://ameblo.jp/artony/
【Cooperation】
Orient Cafe in the Toyo Bunko Museum
produced by Koiwai Farm
2-28-21 Honkomagome, Bunkyo-ku, Tokyo
Inside the Toyo Bunko Public Interest Incorporated Foundation
TEL 03-3942-0400
http://www.toyo-bunko.or.jp/museum/orientcafe