Bilingual Culture Magazine

Talk show ”MY DAYS BEFORE INSTAGRAM“ by Hitoshi Okamoto

text&photo:Tsukio Nakanishi

岡本 仁氏によるポラロイド写真展「MY DAYS BEFORE INSTAGRAM.」
ぼくはポラロイドが好きだった。

  • 1002661_291265547694592_99 のコピー
  • _MG_2391
  • _MG_2419



ゲスト 岡本 仁 対談ゲスト 常盤 響によって行われたトークイベント「ポラロイドのこと、インスタグラムのこと」レポート

The Exhibition “MY DAYS BEFORE INSTAGRAM.”
Polaroids by Hitoshi Okamoto
5 – 20 APRIL 2014 at PERSICA

2014年より、東京、大阪など各地を巡った、岡本仁さんのポラロイド写真展「MY DAYS BEFORE INSTAGRAM」。福岡では、2015.2.21より、life in the goods(「日本」をコンセプトとする生活用品のセレクトショップ)で展示が行われた。
展示期間中の2.28には、この個展の目玉であるトークイベントが開催され、岡本さんのユニークな、そしてパーソナルな目線から見たInstagramの存在と、「今を楽しむこと」について、フォトグラファーの常盤 響さんと対談が繰り広げられた。

雑誌「BRUTUS」「relax」などの編集に携わり、現在はランドスケーププロダクツの”カタチのないもの担当”(……つまり編集やプランニングなどということ。)、そして「今日の買い物。」「僕の鹿児島案内。」に続き「果てしない本の話」を2月に刊行したばかりである、岡本 仁さんが福岡で「ポラロイド写真」の個展を行った。
会場は、LIFE IN THE GOODSという、「日本」をコンセプトとする生活用品店。様々な現代のアーティストの作品がノージャンルに混在する中に、そこに個展の作品の額がとても馴染んで展示してある。
タイトルは「MY DAYS BEFORE INSTAGRAM」。この展示のために以前撮ったポラロイド写真を見返していると、今、自分がInstagramでアップロードしている写真と興味の対象がまるで同じだと実感した。と、岡本さんは言う。
この個展の目玉であるトークイベントでは、岡本さんのユニークな、そしてパーソナルな目線から見たInstagramの存在と、「今を楽しむこと」について、フォトグラファーの常盤 響さんと対談が繰り広げられた。昔からLPのジャケットの格好良さに魅了されていた岡本さんは、正方形のフォーマットに惹かれてポラロイド写真を撮りはじめた。当時は私用だけでなく仕事でも、ロケハンや制作のための資料、紙面の写真にまでポラロイド写真を使っていたという。しかし、2008年にポラロイド社はポラロイドカメラ用のインスタントフィルムの製造中止を発表した。
その後、岡本さんはフィルム式一眼レフカメラやデジタルカメラでの正方形フォーマットの写真の撮影を試みるが、ポラロイドカメラのような魅了は感じず(撮ったものをすぐ見合えない。カメラに対して被写体が身構え緊張する。などの理由から)、すぐにやめてしまったという。そして、同じく2008年にiPhoneが日本で発売された。岡本さんは、iPhoneで撮影した写真をInstagramにアップロードするうちに、ポラロイドで写真を撮るときの浮き浮きした気持ちを再び感じるようになったのだ。そしてそれは、ある意味で不思議な、しかし必然とも感じられるような、ポラロイド写真とInstagramの共通点に起因しているのだろう。
ポラロイド写真とInstagramの共通点。この2つは正方形フォーマットと撮ったものがすぐ見れるという点で明らかに似ているのだが、岡本さんはより深くその相違点を追求してた。今回のトークショーには、ポラロイド写真の余白とInstagramのコメント、ポラロイドカメラとiPhoneのつい触ってみたくなるデザインやおもちゃのような愛嬌、そしてその2つの創始者であるエドウィン ハーバード ランド博士のインタビューとスティーブジョブズとの会合について、など、素敵なエピソードが詰まっていて、聞いていてとてもワクワクした。また、「多くの人と共有する楽しさ」はポラロイドにはないInstagramの良さだ。多くの人と共有するためのSMSの、なかでもInstagramにあげられる写真はハッピーなものが多く、誹謗中傷や諍いにつながることはなく、また、形式がシンプルで使いやすい。
「大好きなポラロイドがなくなって、でもInstagramが出てきた。すごく嬉しいことだけど、ポラロイドのようにInstagramもいつか変わって、なくなってしまうかもしれない。だからこそ、今、Instagramを楽しもうと思う。」と岡本さんは言った。

【トークイベント「ポラロイドのこと、インスタグラムのこと」】

ゲスト 岡本 仁 対談ゲスト 常盤 響

日時 2/28 (sat) 15:00より (開場14:00)
会場 LIFE IN THE GOODS.
場所 : PERSICA(ペルシカ)福岡県久留米市小頭町10-9


岡本 仁(おかもと ひとし)
マガジンハウスにて『BRUTUS』『relax』『ku:nel』などの雑誌編集に携わった後にランドスケーププロダクツに入社。編集やプランニングなどを担当する。『暮しの手帖』に連載中の「今日の買い物」はすべてiPhoneで撮影。著書に『今日の買い物。』『ぼくの鹿児島案内。』『ぼくの香川案内。』などがある。雑誌連載をまとめた『果てしのない本の話』が発売されたばかり。
インスタグラムのアカウント http://instagram.com/manincafe

常盤 響 (ときわ ひびき)
フォトグラファー/ デザイナー
1966年東京生まれ。
80年代半ばからバンド活動の傍ら雑誌を中心にライター、イラストレーターとして活動を開始。90年代に入りヤン富田氏の依頼でASTRO AGE STEEL ORCHESTRA『ハッピー・リビング』のデザインを手がけたことによりCDジャケットを中心ににデザインを始める。1997年旧知の作家、阿部和重氏の依頼で『インディビジュアル・プロジェクション』を装丁。この装丁のためカメラを購入し初めて写真を撮った事がきっかけでフォトグラファーとしての活動を始め、既存の概念にとらわれない作風で人気を得る。2011年より福岡在住。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です