Bilingual Culture Magazine

現役大学生によるウェブメディア「SUBLYRICS」に注目。

Interview: Aoi Hamamoto
Edit&Translation: Yuka Shimayoshi

SUBLYRICS/サブリリクスはヒップホップ・ラップに関する最新ニュース・インタビュー・リリックの和訳・解説などを届けるウェブメディア。今回はサブリリクスを運営する現役大学生の山崎さんにメディアに込めた想いをインタビュー。
SUBLYRICS is a website focusing on the latest news, interviews and translations regarding to hip-hop/rap music. We interview with a founder of SUBLYRICS Yamazaki about his motivation to run the media.

 

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SUBLYRICSはどのようなウェブメディアですか。

メディアを始めた当初行っていたヒップホップ・ラップミュージックに関するリリックの和訳・解説に加え、今のメインとしては数人のライターさんと共に、海外アーティストに関するニュースやインタビュー、コラムを執筆・紹介しています。

ヒップホップ・ラップミュージックは、他の音楽ジャンルに比べても文章量・情報量が非常に多い音楽です。そこには多くの「想い・メッセージ・バックグラウンド・ストーリー」が込められています。SUBLYRICS (Subtitle + Lyrics)という名前の通り、このメディアはヒップホップ・ラップミュージックの「リリック」を言語の壁を超え、バックグラウンドを含め詳細に届けていくことから始まりました。

また、アメリカなどでは多くのインタビューが行われていますが、その情報が日本語で国内のリスナーたちに伝わる機会は多くないので、インタビューを紹介する他、ラッパーの生い立ちから現在まですべてを網羅できる「Rappers Dictionary」というものを連載したりもしています。

ヒップホップは自分の生まれ育った場所をレペゼン(代表)したり、自分の今までの人生を語る一面があるので、出身や生まれ育った環境がわかっていないとアーティストの言いたいこと、本当の根っこの部分が見えづらいため、生い立ちからその人を理解することで本当の魅力が伝わると思っています。

また、現在ストリーミングサービスが普及し始め、音楽が溢れることで、何を聴けばいいのかわからなくなってきている人も多いと思います。そんな人達のために今どのようなアーティストが熱く、評価されていて、かつ面白いといった今聴くべきアーティストや曲を紹介する連載もしています。

今後も連載の種類を増やしていきつつ、引き続きニューリリースや新譜にもフォーカスしていきたいと思っています。

 
サブリリクスの和訳は歌詞の一つ一つに細かな説明がついていることが特徴的ですね。

リリックの中にはカルチャーやメッセージ、バックグラウンドを含めて、スラングや地元のストリートの名前や友達の名前などその人のパーソナルな情報を知らないとわからない内容がよく出てきます。

英語が分かる・分からないに関わらずその人のことを知らないときっとわからないことが多いし、ヒップホップ・ミュージックに込められたメッセージの多くはリリックの中にあると考えているので、歌詞を訳す際は細かな解説に重点を置いています。

 

大学2年生で始めたサブリリクスのルーツはなんですか。

小学4年生の頃からヒップホップを聞き始め、その頃はカニエ・ウェストやR&Bなど2000年代後半の曲をよく聴いていました。
当時YouTubeが流行り始めた頃で、リコメンド機能から色々な曲を聴くことで段々とはまっていったんです。
今はリリックの内容をよく見ているものの、聞き始めた当初は音、リズム、カルチャーや風貌など様々な面に惹かれていました。リズムが自分にとっては衝撃で音楽的にも面白いと感じたのを覚えています。

当時は英語もわからず、ヒップホップのカルチャーも歴史もわかりませんでしたが、数少ない日本のメディアやブログ記事を参照して、リリックや生い立ちを見ることでアーティストそれぞれが苦労してラップを始め、音楽を通して自分の人生を語っていることが徐々にわかり始めました。

その後英語を勉強し理解力が高まったことで、彼/彼女らの届けたいメッセージの多くがリリック(歌詞)に込められていることに気づいたんです。

最近はマンブルラップなど楽しむことに重きを置いているラップも多いし、自分も勿論好きなんですけど、ヒップホップ・ミュージックのリリックには、リズムや楽しいだけではない、人をインスパイアしてくれるような言葉が詰まっていると思っています。

自分は今までにないほど感化されるような素晴らしいものに出会えた。だからこの魅力をできる限り多くの人に伝えたいと思い、大学生になったらメディアなどを始めようと高校生の頃から決心していました。

自分が気付いたようにもっと色々な人達にヒップホップのメッセージを届けたくて、想いを伝える一つの手段としてウェブメディアを始めました。

 

最初に和訳したアーティストを覚えていますか?

J.Coleですね。

高校生の頃に聞いて一番インスパイアされた『Love Yours』という曲があります。

彼は楽曲の中で「人と比べることもあるけれど、結局自分の持っているものを好きになれないと幸せになれないよ」と歌っています。アーティストして成功を収め莫大な富を手にしたものの、彼はそのように語っています。ヒップホップと聞くと、まずギラギラのチェーンや高級車を見せつけているイメージが浮かぶかもしれませんが、彼はそんなイメージを覆してくれるアーティストだと思います。勿論チェーンや高級車を見せつけるのも、歴史やそれぞれの生い立ちに理由があるんですけど。

一度成功を手にした自分がその成功を目の前で見たときに何を感じたか、「本当の幸せとは」をコンセプトにしたアルバムの中で、みんなの思い描く幸せを手にしたはずの彼は幸せではなかったと言っています。

“本当の幸せとは他人と比べるのではなく自分を愛すこと”

この言葉に当時高校生だった自分はすごくインスパイアされました。

 

 

欧米ではヒップホップはすでに主流となっていますが、日本のシーンへの影響はどのようなものだと思いますか。

私なんかが偉そうには言えませんが、徐々に今、日本のヒップホップ・シーンも盛り上がりを見せてきているように思います。最近ではヒプノシスマイクという声優さんたちによるラップ・プロジェクトもあるようです。厳密にヒップホップとは言えないかもしれませんが、ラップというもの自体が広まっている印象があります。

自分はヒップホップのカルチャーや、音楽に込められたメッセージが好きだけど、ヒップホップというカルチャーや歴史を知る入り口としてそういったコンテンツができ始めたことを嬉しく思います。だからこそラップ・ミュージックを聴き始めた人たちにこのメディアを通じて情報を届けて、「ヒップホップにはこんな魅力もあるんだよ」ってことを伝えたいんです。確実にヒップホップへの入り口は広がっている中で、入ってきた人達に対してヒップホップの歴史や、アーティストの想いを伝えたいと思っています。

自分は日本での流行りの曲だったり、アイドルの曲ももちろん魅力的だと思うけれど、例えばコンシャスラッパーのように曲中で政治や社会問題、自分の考えについて深く言及していたり、アフリカンアメリカンがどのように扱われていたか、また貧しい生い立ちを聞くなかで、相対的に日本でテレビで流れているような音楽が表面的なもののように感じてきたんです。

もちろんそれは悪いものだとは一切思っていないし、魅力的な理由もあることを理解した上で、自分はよりラッパーたちのリアルな声を聞いていたくて、そういうことに目を向けることも大事だと思うようになりました。自分がヒップホップを通じてアメリカの政治の問題や人種差別について理解していったこともあり、ヒップホップはメッセージを伝える手段として素晴らしい媒体だと思っています。

ニュースを通してだと難しいかもしれないけど、音楽だったらきっと聴きやすいと思いますし。

 

音楽サイトが混在する中でのSublyrics/サブリリクスの存在意義とはなんですか。

サブリリクスは収益を目的にしていません。
運営を維持するために、ゴシップやスキャンダルなど、いわゆる「バズ」を狙って記事を書く媒体が世の中にある中、サブリリクスでは本当に伝えたい、ヒップホップのカルチャーやアーティストのメッセージに重きを置いています。

深いところまで掘り下げた情報を届けることが、他サイトと違う魅力の一つなんじゃないかなと思っています。

 

今後の展望を教えてください。

自分は今21歳ですが、同年代にもDJや音源を作っている人達が沢山います。

実際にマイクを握っている人達はそれぞれにストーリーがあるはずで、今後は海外だけでなく日本にいるヒップホップに携わる人達に生い立ちやヒップホップにかける想いをインタビューし、まだ日の目を浴びていないアーティストにもフォーカスし楽曲を紹介していきたいと思っています。

そのためにも自分のメディアの影響力を高めてゆく必要があり、今後フォロワーを伸ばしつつ色々なことに挑戦したいと思っています。

ヒップホップを聴くと自分が頑張れるように、その魅力を多くの人に知って欲しいと考えています。
そしてカルチャーやメッセージの深いところにも是非フォーカスしてみてください。

 

Instagram/Twitter–@thesublyrics

What is SUBLYRICS?

In addition to lyric’s translation and commentary on hip-hop/rap music, which I first started in the media, I now work with several writers to write and introduce news, interviews and columns about overseas artists.

Hip-hop/rap music has a much larger amount of text and information than other music genres. There are many “thoughts, messages, background stories” in it. As the name SUBLYRICS (Subtitle + Lyrics) suggests, the media started out by bringing the “Lyric” of hip-hop/rap music beyond language barriers and into detail, including the background of music.

In addition, there are many interviews conducted in the United States and other countries, but there’re not many opportunities for these to be conveyed to domestic listeners in Japanese, so along with introducing the interviews, I have also published a series called “Rappers Dictionary” which covers everything from the rapper’s upbringing to the present.

Hip-hop artists have a side that represent where they were born and raised and tell their own life, so if you don’t know where they came from or where they grew up, it’s difficult to see what the artist wants to say and the true roots of the artist, and by understanding them from their birth, you’ll be able to know their true charm.

As streaming services are becoming popular and music overflows, many people aren’t sure about what to listen to. For these people, we have a series introducing the artists and songs that should be listened to now, which artists are popular and interesting.

We will continue to focus on new releases and records as we increase the number of series.

 

The Japanese translation of SUBLYRICS is characterized by the detailed explanation of each lyric.

Lyrics often include culture, messages, and background, but you can understand them only when you know slang, local street names, friend names, and other personal information.

Since I think that there’re many things that you can’t understand without knowing the person, whether you understand English or not, and that many of the messages in hip-hop music are in lyrics, I focus on detailed explanations when translating the lyrics.

 

What is the root of SUBLYRICS, which you started when you were in the second year of university?

I started listening to hip-hop when I was in fourth grade, and I used to listen to Kanye West, R&B and other songs from the late 2000s. At that time, YouTube was just starting to catch on, and I gradually got hooked on it by listening to a variety of songs through the recommendation function.

I’ve been focusing on lyrics a lot now, but when I first started listening, I was fascinated by the sound, the rhythm, the culture, the appearance and so on. I remember that the rhythm was shocking to me and it was musically interesting.

At that time, I didn’t understand English, hip-hop culture, or history, but by reading a few Japanese media and blog articles, I gradually began to understand that each of them were struggling to start rap to upbring and expressing themselves and talk about their lives through music by looking into lyrics. After studying English and improving my comprehension, I realized that many of the messages they wanted to deliver were contained in lyrics.

Recently, there’re many rap songs that emphasize enjoyment such as mumble rap, and of course I like them, but I think the lyrics of hip hop music are not only rhythm and fun, but also inspiring words.

I came across something more inspiring than ever before. That’s why I wanted to tell this appeal to as many people as possible, and in the high school I made up my mind to start doing media when I became a university student.

As I realized, I wanted to send hip-hop messages to more people, so I started web media as a way to convey my feelings.

Whose song did you translate first?

It was J.Cole’s “Love Yourz”, which inspired me a lot when I was still in the high school.

In the song, he sings, “I sometimes compare myself with others, but I can’t be happy if I don’t like what I have.”. Despite his success and enormous wealth as an artist, he says so. When you think of hip-hop, you may think of it as a glittering chain or a luxury car, but I think he’s an artist who can reverse that image. Of course, showing off chains and luxury cars is also based on history and each person’s background.

In an album based on the concept of “True happiness” and what he felt when he saw success in front of him on eve he had it, he said that he was not happy because he was supposed to have the happiness everyone had in mind.

“True happiness is about to love yourself, not to compare with others.”

I was so inspired by these words as a high school kid.

 

Hip-hop is already mainstream in the West, but how do you think it will affect the Japanese scene?

I can’t say I know all of it, but I think Japanese hip-hop scene is gradually gaining momentum. Recently, there seems to be a rap project by voice actors called Hypnosis Mike. It may not be exactly hip hop, but I have an impression that rap itself is widespread.

I like hip-hop culture and the messages in music, but I am glad that this kind of content has started to be created as a way to learn hip-hop culture and history. That’s why I want to use this website to inform people who have started to listen to rap music that “Hip hop has this kind of charm.”. While the entrance to hip-hop is surely expanding, I would like to convey the history of hip-hop and the feelings of artists to those who come in.

I think J-pop or songs by idols are of course attractive, but I have come to feel that the music that is shown on TV in Japan is superficial after I started to listen to, for example, Conscious Rapper, who talks deeply about politics, social issues and his thoughts, how African Americans were treated, and his poor background in the music.

Of course, I don’t think they’re bad at all, and as I realize there were some attractive reasons, I want to listen to the rappers’ real messages more, and I came to think it was important to pay attention to that.

As I also learned about American political issues and racism through hip-hop, I think it’s a great medium for communicating messages.
It might be difficult to listen to the news, but it’s easier to listen to music to understand these issues.

 

What is the reason of existence of Sublyrics while there’re other music media?

Sublyrics doesn’t aim for making money.

In order to maintain its operations, there’re websites in the world where articles are written for so-called “Buzz” such as gossip and scandals, but Sublyrics places emphasis on hip-hop culture and artist messages that it really wants to convey.

For this reason, I think one of the attractive points of this site is that it delivers in-depth information.

What are your prospects for the future?

I’m 21 years old now, but I know many DJs and sound producers in my age group.

The people who actually hold the microphone must have their own stories, and from now on, I would like to interview hip-hop people in Japan as well as overseas about their backgrounds and their thoughts on hip-hop, and introduce songs focusing on artists who have not yet seen the light of day.

To achieve this, I need to increase the influence of my media, and I want to try various things while increasing my followers.

I want many people to know the appeal of hip-hop so that they can work hard, and also, to focus on the deep culture and message.

 

Instagram/Twitter–@thesublyrics