Bilingual Culture Magazine

THE PRICE OF FAME

text_Asako Tanaka

本当にあったチャップリン遺体誘拐事件が映画化!
7月18日(土)YEBIS GARDEN CINEMA、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロード
ショー

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「チャップリンは俺たちの“友だち”だ。そうだ!“友だち”から金を借りよう」


舞台はスイス、刑務所を出所したエディを友人のオスマンが迎えるシーンから始まる。
移民のため貧しいオスマンだが、エディを自宅の横のトレーラーハウスへ招く。
入院中の妻と幼い娘のために真面目に働くオスマンと陽気でひょうきん者のエディは正反対の性格。エディのとんでもないアイディアによって二人はチャップリンの遺体を拝借し、身代金を要求することに。英語が話せないふたりはチャップリン家に電話をするも話を聞いてもらえず。うまくいかない、後戻りができない、しでかした事の大きさに気づき、真面目なオスマンは耐えきれずにエディを追い出してしまう。
ふたりの仲、そしてチャップリン誘拐事件の行方は…

REVIEW
実話から映画化が決まったこの映画の見どころはチャップリンの遺族の全面協力にもある。チャップリンの孫娘ドロレス・チャップリンが娘役、息子ユージーン・チャップリンがサーカスの支配人役として登場。またチャップリンが埋葬された墓地がロケ地として提供されている。

フランス映画で気になるところはやはりヨーロッパ文化を感じさせるビジュアル。この映画の背景にはにぎやかな街がほとんど出てこない。サーカスのシーンはあるものの、オスマンの小さい家、墓地などが中心で常に画面が暗い印象だ。だが、貧しくて暗いその中にも部屋の家具がヨーロッパテイストな色使いであったり、オスマンの娘サミラの服装が大人でも真似したくなるほどお洒落で可愛らしい。
また、注目したいのは音楽だ。『シェルブールの雨傘』などで知られるフランス映画音楽界の巨匠、ミシェル・ルグランが手がけている。聞きごたえのある贅沢なオーケストラはただのBGMには全く感じず、“聴かせる”のが狙いのようにも感じる。
この映画はシリアスな誘拐事件の映画ではない。それぞれの人物の背景や心情が描かれたヒューマンドラマ、またチャップリンを思わせる喜劇でもある。フランス映画祭2015に出品も決定したこの映画を大画面で味わってみてはいかがだろうか。

原題:THE PRICE OF FAME
フランス映画
シネスコ
115分
カラー
5.1chデジタル
字幕翻訳:齋藤敦子

後援:在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本
特別協力:日本チャップリン協会
配給:ギャガ

©Marie-Julie Maille/Why Not Productions
公式サイト http://chaplin.gaga.ne.jp/